大熊コーチ。
さすがに高地であることを考慮してか、要所以外では声を慎んでいたご様子でした。それが大ヒットで最後のロスタイムでの得点に至る場面での的確かつ論理的な指示につながりました。選手たちは酸欠で判断力が鈍っているのが見て取れましたから、より一層効果的でした。
試合開始直後、「落ち着け」と声をかけたくなったのは、日本代表選手ではなく、イエメンのTV局のカメラマンに対してです。ラクダレース専門じゃないかと思うぐらい、バンピーなピッチで弾むボールに合わせるようにぎくしゃくしたパンニングに、テレビの前でこちらもガクンガクンしてしまいました。特に左にいっぱい振らずにボールを見失っていたときにはどうしようかと思いました。
それも15分ぐらい経つとこちらが慣れたのか、カメラマンが慣れたのか、なんとか観戦できる程度にはなりました。
一方の選手たちはかっちりとした立ち上がりで、緊張感を持って試合に入っていました。その要因としてはなんといってもピッチの凹凸で、いつもにも増して丁寧なトラップを強要されるのでしょう、坪井などはもの凄く緊張した面持ちでボールを扱っていましたから、ひょっとして足の痙攣をまた起こさないか心配になりました。
とにかく、代表らしいサッカーにはあまりなりませんでしたが、守備のマークはサウジアラビア戦よりは改善されていました。ですからギリギリのピンチもなく、川口は暇でした。
まだしっくりこない点としては、敵陣でボールを奪われた後の選手の戻り方です。遠藤はマークに付かないままフリーランニングで自陣に戻ろうとすると、ベンチからの指示が飛んだのか、あわててマークすべき手近の選手を探してくっつくというシーンがありました。こういうところはオシム監督のやろうとしているサッカーにはまだなじめていない様子でした。
攻撃の方は本当にぱっとしない内容で、酸欠・ピッチの凹凸・歴戦の疲労などもあり、フィニッシュのところで相手に体を入れられたり、バランスを崩してフカしたりでした。
PA前で細かいことをやろうとしていましたが、あのような悪条件の下では、いったんは相手を出し抜くことはできても、シュートまではもっていけないもどかしさがありました。
結局、後半ロスタイムに至って、冒頭の大熊の名コーチング通りに、坪井が左サイドに回りこんでのクロスを巻が擦らせたボールを我那覇が巧妙に流し込んで勝ち点3を取ることができました。観ているこちらとしては、あのゴールの前20分間ぐらいはほぼ引き分け勝ち点1を覚悟していました。
会心のゲームではありませんでしたが、これでなんとか一息つけます。
それにしてもオシム監督の心臓は大丈夫なのか…と思ってしまいます。とにかく体に悪い中東遠征でした。それと案外とメンバーを替えない監督だと思いました。
梅崎選手はボールも触ってよかったですな。